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火星に住むつもりかい?他1冊

 伊坂幸太郎本を続けて2冊読み終えたので備忘録代わりのレビュー。

 1冊目

 「夜の国のクーパー」



 漠然と「オーデュポンの祈り」的な奴だろうと推察して購入。僕の想像は軽く裏切られる。僕は名探偵になれないようだ。

 裏表紙の説明文を引用すると

 この国は戦争に負けたのだそうだ。占領軍の先発隊がやってきて、町の人間はそわそわ、おどおどしている。はるか昔にも鉄国に負けたらしいけれど、戦争に負けるのがどういうことなのか、町の人間は経験がないからわからない。人間より寿命が短いのだから、猫の僕だって当然わからない――。これは猫と戦争と、そして何より、世界の理のおはなし。どこか不思議になつかしいような/誰も一度も読んだことのない、破格の小説をお届けします。ジャンル分け不要不可、渾身の傑作。伊坂幸太郎が放つ、10作目の書き下ろし長編。

 な作品。

 ミステリーに分類するならば謎が足りないし、ファンタジーと捉えるなら不思議さが足りない。ちょっと中途半端。
 伊坂作品の大きな魅力の一つである台詞回しも、設定された背景上、いつもの深みが足りず、作品としてもこの長さは必要ない気がする。中短編として上手くまとまれば良作になった筈。


 2冊目。

 「火星に住むつもりかい?」


 基本、本は文庫でしか買わない主義の僕が主義を変更して購入。
 実はFC東京サポ繋がりで、光文社に勤める編集さんを知っていて、その方が手がけた本なのである。
 多分、光文社で最初の伊坂幸太郎本なんじゃないかな。

 書籍の紹介部分を引用すると

 住人が相互に監視し、密告する。危険人物とされた人間はギロチンにかけられる―身に覚えがなくとも。交代制の「安全地区」と、そこに配置される「平和警察」。この制度が出来て以降、犯罪件数が減っているというが…。今年安全地区に選ばれた仙台でも、危険人物とされた人間が、ついに刑に処された。こんな暴挙が許されるのか?そのとき!全身黒ずくめで、謎の武器を操る「正義の味方」が、平和警察の前に立ちはだかる!

 初期の伊坂幸太郎作品は、いわゆる一般的な正義的解決が図られハッピーエンドの作品が多いと思うのだけれど、最近の傾向として「やっぱり世界はそう都合よく出来ていない」お話が多い気がする。この作品もそれ系のいわゆるディストピア社会小説かな。

 知り合いが係わる作品だから褒める訳ではないけど、これは面白かった。僕みたいな穿った見方をする読者には大まかなストーリーと結末はある程度予測できるものであったが、それでも面白いと感じさせるのは流石。
 前半に感じる恐怖もしくは狂気な部分。後半に近づくにつれ高まる加速感。伊坂作品特有の台詞回し。どれもこれも素敵でした。

 こっちは買って損なし。そこのあなた!買いなさいよ。

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