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鳥脳的演劇論【IQ5000 本公演 大自然パノラマ◎マタギ演劇 クマウチ】

 いやいや、タイトルに偽り有り。
 僕に演劇を語れる程の見識はないので、あくまでも個人的な感想にしかすぎない。よく怪しい健康食品のCMで「※個人の感想であり、効果には個人差があります」とか「※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません。」って書いてあるのと同じだと思って欲しい。
 まぁ関西人が「あれ、○○らしいで...よぉ知らんけど」と喋るのと同じと思ってもらっても構わない。

 故あってIQ5000という劇団の本公演『大自然パノラマ◎マタギ演劇 クマウチ』を観てとてもとても面白かったのでその紹介。



 IQ5000という劇団は、あの腹筋善之助さんが主宰している(表現はこれであっているか?)劇団。僕が「あの」とつけるには理由がある。

 僕が大人になった1985年くらいから世紀末にかけて、「小劇場」といわれるムーブメントというかブームが存在していた。
 東京では野田秀樹の「夢の遊眠社」、鴻上尚史の「第三舞台」が有名だったり。三谷幸喜の「東京サンシャインボーイズ」とか、ケラの「NYLON100℃」が台頭してきたりしてた。
 関西では、いのうえひでのり率いる「劇団☆新感線」や生瀬勝久なんかの「そとばこまち」、内藤裕敬の「南河内万歳一座」が有名だったし、升毅・牧野エミ・立原啓裕の「売名行為」なんぞもあった。そう読売テレビの深夜枠で『現代用語の基礎体力』『ムイミダス』『未確認飛行ぶっとい』なんかがやっていた頃。ちょうど世紀末を大阪で暮らしていた僕にとって腹筋さんは、それらムーブメントの中で光輝いていた一人だった。

 腹筋さんは「惑星ピスタチオ」という劇団の座長で、当時は佐々木蔵之介も所属していた筈。元々神戸大学演劇研究会が前身で、その作風はほぼ舞台装置なし、パワーマイムといわれる身体の動きと説明台詞で構成される演劇スタイルだった。

 ある日、twitterがご縁で舞台女優の巴里マリエさんとお知り合いになった。巴里さんが所属する劇団がIQ5000と知り、さらにその主宰が腹筋さんとなれば、そりゃ『クマウチ』観に行かない道理はない訳で、行って来ました11/17、上野ストアハウス(地味に家から歩いていける距離)。
 ちなみに巴里さんは、僕とtwitterでつながるくらいだから当然の如くトリサポ。関東在住のトリサポはそれだけでIQ5000の公演を観に行くべきだとは思う。

 さて作品の方。
 こういう作品はネタバレしてしまうのが残念なのでストーリーの詳細には触れない。とりあえずパンフレットにあった紹介文を転載すると....

 真夏の暑さから秋を通り越して、
 あっという間に冬を迎える十月十日山脈。
 そして、長い長い冬が終わり、
 春の兆しが感じられるとき、
 マタギたちは体に力が湧き始める。 
 クマを撃ちに行くのだ。 
 上田代忠義は、若かりし日のことを
 今のことのように覚えている・・・

 話の筋的には、4組のマタギの夫婦のエピソードを絡めながらマタギとしての生き方を描く。

 僕個人の話になって申し訳ないが、こんな初老になっても映画・本・演劇に求めるのは「お話としての面白さ」だ。だから劇団四季の「オペラ座の怪人」見ても鼻ホジホジで「クレイジー・フォー・ユー」の方が好きだし、川端康成の「雪国」読むより村上春樹や伊坂幸太郎を読んでしまう訳ですよ。
 多分、この舞台の脚本と演出は腹筋さんだと思うけど、マタギを題材にしてこの話を展開できるのが素晴らしい。
 多分、マタギを主題にしてはいるが、一つの信条とか教義とか、例えが判り難くいけど古い映画「刑事ジョン・ブック 目撃者 」に出てきたアーミッシュみたいな、人としてのアイデンティティを持っている人・家族・民族についてのお話なんだと思う。

 僕のように糞みたいな文章を撒き散らかすのを趣味としている人間にとって、面白いお話を作れる能力は羨ましさを通り過ぎて、嫉妬すら覚えるクラス。ガンジーですら助走をつけて殴りにくるレベル。

 舞台の方はさすが腹筋さんとこの劇団だけあって、やっぱりのパワーマイム。舞台装置と呼べそうなものは50cm立方ぐらいの箱が6つ(くらい)だけ。後は役者さんの身体の表現で、森になったり熊になったり、舞台のそこには存在しないものをあたかも存在するかのように錯覚させてくれる。いや、これ体力が必要だなぁ。普段からの練習の賜物なんだろうけど、決して僕にはもう出来ないレベルの鍛錬なんだろうなぁ。
 巴里さんがものごっつ良い席を確保してくれてて、ほんと舞台の直前で、役者さんの息遣いとか、流れ落ちる汗とか、細かい筋肉の動きまで見えてとても感動しました。

 正直、僕のレベルの人からすると演技の良し悪しなんてのは判らない...判らないなりに、雰囲気とか佇まいの好みで気になった役者さんをあげると....

 馬二郎役のキタタカシさんがもの凄く好みの演技。まぁ役どころの美味しさもあるとは思うけど、表情の作り方とか、佇まい感がとても良かった。どうやらIQ5000に所属する役者さんではないらしい。少しググったところマキセ芸能社に所属してた元お笑い芸人との事だけど、ちょっと他の舞台も見てみたいと思わせるくらいだった。
 12/8~10に池袋で「役者とライターによるコントライブ」をやるみたいなので行って見ようかと。

 我らがトリサポの巴里マリエさんは、馬二郎の妻「菊」役。妻としての愛らしさを表現しつつ、他の場面では、決して大きくはない身体から噴出すエネルギーみたいなモンに純粋に感動した。
 ある1シーンで熊を演じる場面があるんだけど、その時の目付きは只者ではなく、過去に一人、二人は殺している目付きだったよ。

 あと女優さんでは「咲」役の藤原理恵子さんがタイプだった。コメディ面の役どころってのがあるんだろうけど、チャーミングで個人的に好み、多分好み。

 それと「香織」役の大友美香子さん...多分、今年のアウェイ水戸戦でゴール裏に来ていた気がする。美人さんだから覚えている。

 「忠義」役のマット前転さん。ストーリーの語り部として重要な役どころをこなすだけあって、とても上手な演技だった。紙芝居師としても活動しているらしく、この人ならばその辺りも上手そうと納得の演技。
 ....但し、非常に残念なことに(本人の過失はまったくないにも係らず)、トリサポ関東組の僕にとって、某ダイちゃんに顔つきが似ている上に、演技プランまで似通って見えてしまい。劇の途中で何度もダイちゃんになってしまった。是非、リベンジの為にも他のお仕事を見てみたい。

 まぁそんなこんなで久しぶりの観劇だったけど、IQ5000の舞台は、想像以上にパワフルで、想像以上にエンターテイメントな舞台だったと思います。
 次の公演がいつになるか判りませんが、次の機会はこのブログで前告知しますので、興味ある近所のトリサポは参集すること。興味がなくても一度は観ておけ。
演劇 4436619615113340373

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