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旅の終わり


 あの人は優しい目をしていた。
 とても…とても優しい目をしていたんだ。

 僕は田坂監督...いやもう元監督か、を思い出すたび、あの優しい目が浮かぶ。
 僕らが知っている田坂さん、テレビに映る田坂さんは常に厳しい目つきをしていたと思う。愚直なまでに真面目な人で、常に全力でトリニータが勝利する方法を考え抜いていたから。
 あの人の厳しい目つき以外がテレビに流れたのなんて、J1昇格プレーオフを制した後のインタビューだけだったんじゃないかな。

 そうそう故郷の大分に帰れない僕だけど、帰省した際は必ず大分スポーツパークの練習場へ足を運ぶ。スタジアムやテレビの中継からだけでは判らない、いろんなことを知ることができるからだ。

 あの選手は練習でも良く声を出している。
 あの選手は帰るのがむっちゃ早い。
 あの選手は出てくるのがとても遅い。
 あのベテランは良く声をかけている。
 監督の次の狙いはこうなのか。
 この選手はメディアやファンへの対応が素晴らしい。

 そんな発見したいろんな事の中で一番の宝物が、あの人の優しい目だ。

 練習が終わった後、選手がそれぞれクールダウンしたり、ふざけてボール遊びをしているのを、少し離れた場所から眺める、あの人の目は本当に優しかった。まだ小さい自分の子を眺める父のような優しい目。多分、その優しさと、勝負事に対する真摯な姿勢、それが同居しているのがあの人の本質だったと、僕は思っている。

 あの人は誰よりもクラブハウスに早くきて、誰よりも遅く帰る。
 Foot!であの人の特集が組まれ放送された時なんか、まだ陽が上る前に本人がクラブハウスの鍵開けてたもの。
 足繁く通っていると、たまにランニングに出かけるあの人と会話ができる。あまり一般の人は持っていない「あるもの」に貰ったあの人のサインを見ながら、この文章を僕は書いている。


 今シーズン序盤の成績を理由に、あの人は監督を解任された。

 勝負事の世界で、あの結果ならばいたしかたないんだろう。


 トリニータで監督をはじめて4年半。

 最初の年は、選手の成長を感じることができたのを思い出す。

 戦術が浸透しはじめた2年目。何とか昇格プレーオフ枠に滑り込み、そして制した。あのインタビュー時に言葉につまり、目に涙があふれたあの人を見た時、心の底からあの人が監督で良かったと思った。それは今でも変わらない。

 J1での勝負の年も今年の状況と少し似ていた。序盤はそこそこやりあえてたのに、ずるずると勝てない状況が続いたことなんかね。

 毎年、メンバーが変わるチーム状況。ある程度は良くなったが、負債を抱え続けながらのチームを率いる厳しさの中、本当に出来る事はやってくれたと思う。本当に感謝の念しかない。

 前述のFoot!のインタビューで目標が「イシさん(石崎監督)のように現場で使われ続ける監督」とおっしゃっていたので、きっとまたどこかのチームでお会いできることを信じている。

 もっとチーム財政が良いところで、思うような選手を使え采配を振るう田坂さんを見てみたい...それこそ魔改造しなくてすむような面子でね(笑)

 シーズン途中の解任に「ひとつ大分の旅が終わったのかなという感じです。」と答えた田坂さん。僕たちがこれからも続ける「Footballを巡る冒険」の途中でまた出会える事を楽しみにしている。


 田坂さん。またどこかでお会いしましょう!


※記事冒頭の田坂監督画像は「ヒロボー日記・・・諦めない限り夢は必ず叶う!」さんからお借りしました。ヒロボーさん掲載許可ありがとうございました。




【追記】:
 我がトリニータが新監督の元で1勝をあげたら、田坂さんの記事を上げようと思っていました。
 新監督が有耶無耶になったいま、あまりその1勝に意味がないと感じたので公開。

 こんな事を事前に書いていて、まさか田坂さんの再就職先決定が、うちの監督決定よりも先だとは思わなかったよ。しかも代行がそのまま昇格なんてね。

 僕は文章の締めを

「僕らはこれからもトリニータと歩んでいく。次の監督の構想にそって変わっていくチームを応援し続ける。そこにあなたがいないのは寂しいのだけれどそれはしょうがないことなんだろう。」

 にしようと思っていたのだが....トリニータと共に歩んでいく自信が少し揺らぎつつある自分に驚愕しています。

 あと冷静に考えてみると、今シーズン開幕戦の『パルプンテ』の影響がでかすぎました。あれで完全に負の連鎖になった気がします。
 田坂さんは「サッカーを語る言葉」を持っていたと思います。監督の想いとか熱量とか感情とかをキチンと載せて選手、そしてサポーターへ届くコトバを使える監督はそうそういない気がするのですが、昨年くらいから少しサポへ届かなかったり、選手が聞く耳を持たなくなったのかもしれない。それが引退インタビュー記事にあった「私が選手に求める刺激、選手が私に求める刺激が足りなかった。」の部分なのかもしれない。

 いつかトリサポやトリニータの関係者にインタビューして歩き、「トリサポを巡る冒険」的なドキュメンタリーを書いてみたいと密かに思っている僕としては、あのパルプンテの狙いや大分での旅の景色について田坂さんに聞いてみたいなと思っています。



 田坂さんの4年半に感謝を込めて。

田坂和昭 1147564748295242785

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  1. 自転車最高2015年7月7日 16:49

    なんて書いていいか分からないんですが…………私はどんなになってもボロボロになっても応援したい!やっぱり大分出身として誇りに思いたいし心の拠り所にしたいです…………
    勝てませんね~(。>д<)
    最初のちょっとした掛け違いがココまできちゃうんですね

    応援して背中を押し続けたいです

    返信削除
    返信
    1. >自転車最高さん
      毎度です。すみませんレスが遅くなりました。
      まぁこんなこと書いている僕もトリサポは辞めれないんですけど…(´・ω・`)

      削除

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